
【現場目線で深掘り!】漫画制作で知っておきたい「著作者人格権」とは?

「著作権」と「著作者人格権」の違い、ご存じでしょうか。
「著作権」については、最近ではニュースやSNSなどで取り上げられる機会も増え、耳にしたことがある方も多いと思います。
一方で「著作者人格権」となると、「著作権と何が違うの?」「言葉は聞いたことがあるけれど、実際のところはよく分からない…」という方が、実際の制作現場でも意外と多い印象です。
漫画制作の現場では、この「著作者人格権」への理解が十分でないことがきっかけで、思わぬすれ違いが生まれたり、「これって変更しても大丈夫なんだろうか」という発注者様の不安につながったりすることがあります。
今回は、漫画制作サービスとして数多くの案件に携わってきた現場の目線から、「著作者人格権」とはどういうものなのか、そして企業が安心して漫画を活用していくために押さえておきたいポイントを、できるだけかみくだいてお伝えします。
1. 著作者人格権とは?
著作者人格権を一言でいうと、“作った人の意図に反する形で、作品を書き換えられたり使われたりしないよう守るための権利”です。
漫画は、キャラクターの表情やセリフ、コマ割り、構図など、細かな表現の積み重ねでできあがっています。
もし、それが制作者の意図とはかけ離れた形に書き換えられてしまうと、本来伝えたかったメッセージや作品の価値そのものが変わってしまうことがあります。
そこで法律では、「作品」だけでなく「作った人の意図や表現も尊重しましょう」という考え方が定められています。これが「著作者人格権」です。
著作者人格権は、実は1つの権利ではなく、次の3つをまとめた呼び方です。
・氏名表示権:作品に名前を表示するかどうか、どのように表示するかを決められる権利
・同一性保持権:自分の意に反して、作品の内容や題号を改変されない権利
漫画制作の現場で加工・変更の話をするときに、特に関わってくるのがこの「同一性保持権」です。
また、これらの権利は契約書へのサインや登録などの手続きを必要とせず、作品を創作した瞬間に自動的に発生します。著作権(財産権)が著作者の死後70年間保護されるのに対し、著作者人格権は著作者本人に一身専属する権利という点で、性質が異なります。
2. 著作権との違い
著作者人格権とよく混同されがちなのが「著作権」です。著作権は、“作品を利用したり複製したり、公開したりするための財産的な権利”のことを指します。
一方、著作者人格権は作品をつくった制作者本人だけが持つ権利で、著作権のように契約で譲り渡すことはできません。
つまり、制作者から著作権を譲り受けた場合でも、「どんな加工・変更も自由にできる」というわけではない、ということです。
| 著作権 | 著作者人格権 |
| 利用するための権利 | 制作者の人格を守るための権利 |
| 譲渡できる | 譲渡できない |
| 企業が持つこともある | 制作者本人しか持てない |
| 契約によって移る | 移らない |
とはいえ、「少しでも手を加えたらアウト」というわけでもありません。
企業が漫画を活用していく中で、掲載する媒体に合わせた調整や、情報の更新にともなう変更が発生するのはごく自然なことで、制作者側もそうした可能性はあらかじめ想定しておく必要があります。
大切なのは、「どんな加工・変更であればトラブルなく進められるのか」を、事前に理解しておくことです。
▼著作権については、以下の記事で詳しく解説しています。
3. 漫画制作でよくある「これって加工・変更していいの?」
実際の制作現場では、こんなご相談をいただくことがよくあります。
・キャンペーン内容が変わったので、吹き出しのセリフを変えたい
・SNS投稿用に、漫画の一部をトリミングしたい
・キャラクター部分だけを切り出して、別の媒体でも使いたい
・パンフレット用に、コマのレイアウトを変えたい
どれも、企業が漫画を活用していく上ではごく自然なご要望ですが、「これは自分たちの判断で進めてしまって大丈夫なのだろうか」と迷われる担当者様は少なくありません。
正直なところ、こうしたご相談は契約の内容や加工・変更の程度、作品への影響度合いによって判断が変わってくるため、「ここまではOK」「ここからはNG」と一律に線引きできるものではありません。都度、内容を確認しながら、制作者側に相談していただくことが重要です。
4. 漫画化伝説の考え方
漫画化伝説では、お客様に漫画を安心して長くご活用いただくことを大切にしています。
著作者人格権は制作者本人しか持てず、譲渡することはできない権利です。ただし、「行使しない」という取り決め(不行使特約)を契約の中で結ぶことは可能です。
漫画化伝説では、この不行使特約の考え方に基づき、著作権譲渡を含めてご依頼いただいた案件については、広報・販促・採用・教育など、当初ご依頼いただいた利用目的の範囲内で合理的に必要となる変更に関して、著作者人格権を行使しない旨をご案内しています。
たとえば、
・企業情報の更新にともなうセリフの変更
・利用する媒体に合わせたトリミング
・キャラクター部分の切り抜きと、別媒体への流用
など、企業活動の中で一般的かつ自然に発生する加工・変更については、できる限りスムーズに進めていただけるようにしています。
一方で、作品の趣旨や価値を大きく損なうような加工・変更や、公序良俗・法令に反する利用、制作者の名誉や信用を損なうおそれのある利用については、お受けできない場合があります。
たとえば、かわいらしいウサギのキャラクターを、そのイメージとは真逆の冷徹で暴力的なキャラクターとして描き変えるようなケースは、作品の趣旨や価値を大きく損なう加工に当たり得ます。

これは、お客様の漫画活用を一律に制限するためのものではありません。お客様に安心して漫画を活用していただくことと、作品そのものの価値を守ることの両方を実現するための考え方です。
5. まとめ:安心して漫画をご活用いただくために
著作者人格権は、作品に込められた意図や表現を守るための大切な権利です。一方で、企業が漫画を活用していくなかでは、セリフの修正やレイアウトの変更、媒体に合わせたサイズ調整などが必要になる場面が少なくありません。
だからこそ、契約の段階で、改変の範囲や著作者人格権の取り扱いについてあらかじめ確認しておくことが重要になります。
また、「この加工・変更は問題ないだろうか」と迷ったときは、安易に進めず、制作者や制作会社に相談することをおすすめします。
漫画化伝説では、専属のプロデューサーがお客様と制作者の橋渡し役となり、制作時はもちろん、納品後の運用フェーズまで丁寧にサポートしています。
「SNS用にサイズを変更したい」
「セリフの一部だけ最新情報に更新したい」
「別の媒体でも活用したい」
そうしたご要望についても、契約内容に応じて最適な方法をご提案し、お客様が安心して漫画を長くご活用いただけるようお手伝いします。
漫画は完成して終わりではなく、長く活用されてこそ、その価値を発揮するコンテンツです。「こんな使い方はできる?」「こんな展開もしてみたい」といったご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。




