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【プロ目線で語る】電子全盛時代だからこそ見直したい『紙の漫画』の価値

近年、漫画を読む場所は本棚からスマホへと移りつつあります。

通勤中の電車で。
昼休みのちょっとした空き時間に。
寝る前、布団の中で。

思い立った瞬間に作品へアクセスできる電子漫画は、私たちの漫画体験を大きく変えました。その一方で、ふとした瞬間に思うことがあります。

「この作品は、紙で手元に置いておきたい」

そんな気持ちになる作品に出会ったことはないでしょうか。

今回は、漫画制作に携わる立場から、電子全盛時代だからこそ改めて考えたい『紙の漫画の価値』についてお話ししたいと思います。

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1. 漫画大賞受賞作『本なら売るほど』を読んで…

この10年で漫画を読む環境は大きく変化しました。スマホやタブレットが普及し電子書籍サービスも充実したことで、いつでもどこでも気軽に漫画を楽しめるようになっています。

実際、漫画化伝説プロデューサーの私自身も、ここ数年はスマホで漫画を読むことがほとんどでした。そんななか、久しぶりに「紙で読みたい」と強く感じた作品があります。それが、マンガ大賞2026を受賞した『本なら売るほど』※です。

※『本なら売るほど』
漫画家・児島青氏による作品。古本屋「十月堂」を舞台に、本と人との出会いや交流を描いたオムニバス形式のヒューマンドラマ。マンガ大賞2026をはじめ数々の漫画賞を受賞し、大きな話題を呼んでいます。どんな作品か気になる方はぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。
参考:漫画誌ハルタ公式HP

 
スマホで1巻を読み終えたあと、不思議な感覚が残りました。

「これは、紙の本として手元に置いておきたい…」

そう思い立ち、久しぶりに近所の書店へ向かいました。

漫画コーナーを探し、シュリンクパックされたコミックスを見つける。
手に取り、レジへ持っていく。
家に帰って、ワクワクしながら封を切る。

電子書籍なら数十秒で済む行為です。それでも、その少し遠回りな時間が妙に尊く感じられました。

本を探す時間も、ページをめくる音も、読み終えたあと本棚へ並べる瞬間も、すべてが作品体験の一部だったように思えたのです。そして同時に、こんな疑問が浮かびました。

「電子全盛の今、紙の漫画の“価値”ってなんだろう…?」

2.「紙」と「電子」で脳の働きに違いがある?

先日、とても興味深い研究成果が発表されました。東京大学と株式会社コアミックスによる共同研究※では、紙の漫画と電子漫画では読後の脳活動に違いが見られることが報告されています。研究チームはfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いて脳活動を測定。その結果、紙で漫画を読んだ場合の方が、その後の脳活動が効率化される傾向が確認されたそうです。

ここでいう「効率化」とは、単に脳の活動量が減るという意味ではありません。不要な活動を抑えながら、思考に必要なリソースをより有効に活用できる状態を指します。つまり、紙で漫画を読む体験が、その後の思考活動を支える可能性があるということです。

もちろん、この研究だけで「紙の方が優れている」と結論づけることはできません。しかし、紙で読むという行為そのものには、私たちが思っている以上の価値があるかもしれない…そう感じさせてくれる研究結果だといえるでしょう。

※参考:【研究成果】紙のマンガの読書効果を脳科学で実証 ──デジタル書籍より左脳と右脳の活動が省エネ化──(東京大学・株式会社コアミックス)

3. 電子漫画には電子漫画の良さがある

とはいえ、電子漫画の利便性は圧倒的です。

・スマホ一台で何百冊も持ち歩ける
・24時間いつでも購入できる
・保管スペースが不要
・拡大表示ができる
・過去作品を探しやすい などなど…

忙しい現代人にとって、「読みたいと思った瞬間に読める」という価値はとても重要です。電子書籍が登場したことで、漫画に触れる機会が増えた人も多いでしょう。漫画文化の裾野を広げた立役者のひとつであることは間違いありません。

だからこそ、この話は「紙か電子か」という二者択一ではありません。それぞれに異なる魅力があり、それぞれに適した楽しみ方があるのです。

▼「紙の漫画」と「電子漫画」、それぞれのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

漫画は紙派?電子派?それぞれのメリット・デメリットを徹底解説!

4. それでも紙の漫画には特別な価値がある

では、紙の漫画にしかない魅力とは何でしょうか…。

まず挙げられるのは、「物として所有する喜び」です。

・本棚に並んだ背表紙
・ページをめくる感触
・紙の匂い
・装丁やカバーの質感

これらは電子漫画では再現できません。

紙の漫画を手に取るとき、私たちは単に物語を読んでいるわけではありません。本棚から一冊を取り出し、ページをめくり、好きな場面で手を止める。何年か後に読み返したとき、その頃の自分の気持ちまで一緒によみがえってくることがあります。

お気に入りのページにしおりを挟んだこと。
何度も読み返して少しだけ傷んだ背表紙。
学生時代に夢中になった作品。
人生の節目に出会った一冊。

紙の漫画は、作品そのものだけでなく、その時々の記憶まで閉じ込めてくれます。漫画は物語ですが、紙の漫画は同時に「思い出の器」でもあるのかもしれません。

『本なら売るほど』を読んだ体験から得たものも、まさにそうした感覚でした。コミックスを買いに行く時間も、ページをめくる音も、読後に本棚へ並べる瞬間も含めて、その作品の“体験”だったように思います。

5. 漫画制作だけでなく“手に取った瞬間”まで設計する

私たち漫画化伝説は、印刷会社が運営する“伴走型漫画制作サービス”です。漫画の企画・制作だけでなく、冊子デザインや印刷まで一貫して承っています。

漫画冊子制作において重要なのは、単に漫画を印刷することではありません。

・A4かA5か、それともB6か
・中綴じか無線綴じか
・マット紙かコート紙か
・手に取ったときの重さや質感はどうか

こうした細かな要素によって、読者が受ける印象は大きく変わります。同じ漫画であっても、紙質やサイズが変わるだけで、伝わる空気感はまったく違うものになるのです。

だから私たちは、漫画の内容だけでなく、「どんな形で届ければ読者に最も伝わるのか」
という部分まで含めて設計しています。

6. まとめ

電子漫画と紙の漫画。どちらが優れているという話ではありません。

電子にはいつでもどこでも作品に出会える自由があり、紙には作品と一緒に時間を積み重ねていく豊かさがあります。

私自身、『本なら売るほど』を読んだことでそのことを改めて実感しました。書店へ足を運び、コミックスを手に取り、本棚へ並べる。そのひとつひとつの行為が、作品をより深く記憶に刻んでくれたように思います。

電子が当たり前になった今、紙だからこそ生まれる体験があります。そして私たち漫画化伝説は、漫画の内容だけでなく、その作品が読者の手に渡り、ページをめくり、記憶に残る瞬間まで含めて設計したいと考えています。

「読者の心に長く残る漫画冊子を作りたい」

そんな時は、ぜひ漫画化伝説にご相談ください。

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